日本の神話に遊ぶ

【日本神話】ー無限を祝福する神々ー

引き続き抽象的な話が続きますが、神道の神学的な理解には必須!本記事を理解できたら、心の通った神道仲間です。

別天神と呼ばれる神々

「不可思議」とされる者は、その存在の片鱗を見せる事はあるのですが、全体の姿はわからず、理解しようと試みても情報が少なすぎるのでどうしようもありません。

古事記や日本書記にもその様な神々をおられます。

神々の御神格はお生まれになった経緯やその物実の解釈から判然とする場合があります。

例えば祓えの神々は、伊弉諾尊(イザナギノミコト)が禊をされたときにお生まれになっているので、そのご神格は「祓禊」と関係がある事が容易に理解できます。

しかし今回ご紹介する別天神(コトアマツカミ)と次回紹介する神代七世の神々の中にはどう言った御性格で、何を司っておられるのかわからない神々がいらっしゃる。

ではそう言った神々はどの様に理解すれば良いのか。

唯一の頼りはその御神名であり、その一音一音の音の解釈からその神様についてを理解する方法がとられます。

例えば「い」という音には「積極的」と言う意味が込められているとされており、例えば生成の大神たるイザナギノギコト・イザナミノミコトも、イを冠されていますね。

この様な一音の音から意味を見出す事を音義説と呼び、学問として成立していた様ですが、現代の神道教学上ほとんどないと思われます。

と・・・またもや前置きが長くなりました。

神様に思い寄せたい時はこの音義説も意識すれば良いのでしょうが、私もまだ素養なく皆さんと一緒に勉強して行ければと思います。

別天神の宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)、天之常立神(アメノトコタチノカミ)の二柱につきましても、例の如く筧克彦博士の説を取りまして、解説してまいります(筧博士は純粋な音義説による接近ではなく本居宣長大人の解釈を参考にされていることが多い様です)。

因みに、別天神(ことあまつかみ)とは五柱:天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神と宇摩志阿斯訶備比古遅神、天之常立神を申し上げます。

宇摩志阿斯訶備比古遅神 (ウマシアシカビヒコヂノカミ)

次に国稚く、浮脂の如くにして、水母なす漂える時に、葦牙の如萌え騰る物に因りて成りませる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)。

次に天之常立神(アメノトコタチノカミ)この二柱の神はみな独神と成りまして、身を隠したまいき。

上の件、五柱の神は別天神(コトアマツカミ)。

国がまだ未発達で国土もクラゲの様にユルユルしていた時の事。

葦がどんどん生えそろって行く様を見たご先祖様たちが、そこに活力の神様、宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)を見出したとされています。

葦牙の如萌え騰る物(あしかびのごと、もえあがるもの)に因って成りませる神とありますが、単に葦の神様と言う事ではなく葦がドンドン繁茂する様な、成長の力、発達の力を司っておられる神様と言う事です。

抽象的な話になって恐縮ですが、天御中主神筆頭の造化三神が全世界そのもの(+その本質)で総論=原則とすれば、造化三神を除く別天神の二柱とこれに続く神世七代はこの世界の性質を説明した各論=派生原理であるという見方ができます

そうであれば、造化三神(世界と世界の本質)のご本質をさらにつっこんだ説明として宇摩志阿斯訶備比古遅神等を登場させたと言う事ができます。

加えて、すでに産霊(生成化育発展)の神として産霊神を登場させているため、単に宇摩志阿斯訶備比古遅神を発展、活力の神様と見てしまうとそのお働きが産霊神と被ってしまいまい記録に残した意味がありません。

要するに、

世界(天御中主神) 発展(産霊神)+ 〇〇(宇摩志阿斯訶備比古遅神)と説明することができ、従って〇〇に発展と入れてしまうとそれは産霊神の説明になりますので、宇摩志阿斯訶備比古遅神には別の意味、お力を見出さなければ古事記に登場された意味が無くなってしまうという事です。 

もう少し宇摩志阿斯訶備比古遅神の事を考えて見ると、葦がドンドン生える様から「無限に」と言う感覚も見出すことができます。

ここで言う葦は無限に繁茂する、発展する事の象徴ですが、庭木もほっておくと無限に広がりを見せますので発展は先祖も発見しやすい性質だったのかもしれませんね。

さて、こうして考えれば「世界」は「発展」し、それは「無限」に広がりを見せると言うことができます(天御中主神=産霊神+宇摩志阿斯訶備比古遅神)

天之常立神(アメノトコタチノカミ)

天之常立神(アメノトコタチノカミ)ですが、これがまた抽象的な神様なんです・・・。
(天御中主神=産霊神+宇摩志阿斯訶備比古遅神+天之常立神)

宇摩志阿斯訶備比古遅神の御名からは無限に発展していく「過程」が表現されているのですが、天之常立神は無限の「極致」を表現しているとされています。

天之御中主神の天は狭義の天と地を含んだ意味ですが、天之常立神の天は地に対応する狭い意味の天で、常立はざっくり言うと「底」と言う意味。「底」=極致の意味。

この二柱の神様は、独神ですから「無限」と言う一なるものに、二つの側面があると言う説明になっているのです。

宇摩志阿斯訶備比古遅神は「過程」で、天之常立神はその「極致」(極致と言っても無限を前提しているから限りがあると言う意味は付随しない)。

これも取り方によっては色んな解釈できるので、熟考を要するのですが便宜上結論を急ぐとすれば、宇摩志阿斯訶備比古遅神は無限に拡散する力、あらゆる物の中に存在する無限に進んでいく作用を象徴する神様であり、天之常立神は世界全体を無限に進ませる神様と定義できます。

「世界」は「発展」を本質とし、それは「無限に広がろうとしていて」、世界が「無限に広がらせ様としている」と言う事になります。

無限に広がりたいと言う能動的な側面に加えて、世界がそうさせていると示唆しているのです。

この無限と言う事とその反対に有限がある、この点については神世七代の記事で考えて行きたいと思います。

神社検定対策 用語のおさらい

用語:意味:
別天神(ことあまつかみ)天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神、宇摩志阿斯訶備比古遅神、天之常立神の五柱の事を言います。

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神田 哲拓
神田 哲拓
神道ブロガー。神道研究で得られた智慧の共有をモットーに、神社や神道記事を執筆しています。 神社大好き人間(神社検定壱級)兼 大家さん(現在戸建1戸+宅建士)兼 サラリーマン。 神道研究とフォルクローレに没頭したい。あはれ、 あなおもしろ、 あなたのし、 あなさやけ、おけ。我が信ずるところに従いまして言の葉を紡ぎます。
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