神道論

三社託宣ー神道倫理の到達点ー

この記事では三社託宣について述べます。ある意味、室町時代に花開いた神道の到達点です。その三社託宣に触れる事で神道理解の一助になれば幸い。

三社託宣の人気ぶり

託宣とは神々のお告げの事を言い、

三社とは、天照大御神、八幡大菩薩、春日大明神の三尊神のことを申し上げます。

三社と言うより三柱の御神号と言った方が適切かもしれませんね。

およそ室町時代から江戸時代にかけて、尊重された託宣で、

天照大御神、八幡大菩薩、春日大明神の御尊影と共に一つの掛け軸におさめられて公卿から武士、平民、あらゆる層から信仰を集め、ほとんどの家の床の間にお祀りされていたそうです。

日本書記や神話の中心的な神様である天照大御神、武家の崇拝厚い誉田別尊(ホンダワケノミコト)=応神天皇、また侍殿防護の神勅を受け天皇をお支えする天児屋命(アメノコヤネノミコト)。

日本統合の象徴の神様と、「武」の神様、天児屋命の末裔、藤原氏=政治家「文」の神様の託宣と言う事ですので、我々色んな性格志向性をもっていますが、全国民的、網羅的であってほとんどの人々が心得るべき内容と言っても良いでしょう。

私も時々目にしますが、上記の三柱の神々が描かれた掛け軸は大変威光がある様に感じますしありがたみを感じるのです。

普通の人は託宣はさておいても、この御神号と尊影だけで敬神の心を起こしてしまう程ですので、広く信仰されてきた事も頷けます。

ちなみに、室町時代における神道の最大最高の教導者であった吉田兼倶の作と言われることがありますが、定かではありませんが、吉田家が、日本書記の神代部分と中臣祓と共にこの託宣を広める役割を果たしたことは事実の様です。

託宣の内容も武士をはじめ神道家、儒家、仏教徒の心をくすぐる事にもなり、識字階級の人々にも好まれていたようです。現代に生きる人々が読んでも感じ入るものがあります。

江戸時代に法忍と言う愛国の情が抑えきれないお坊さんがいたのですが、「日本の大道はこの託宣に止まり候、千言一句の神託なり」とえらい褒め様だったそうです。

三社託宣の原文と意味

それでは三社託宣 天照大御神、八幡大菩薩、春日大明神 のお言葉を見ていきたいと思います。

天照大御神の託宣 原文と意味

原文(読み下し文):謀計は眼前に利潤を為すと雖(いえど)も、必ず神明の罰に当たる。正直は一旦、依怙(えこ)にあらずと雖も終に日月の憐れみを蒙る。

勤解:人をおとしいれて我田引水を考える者は一時的に利益を受けるが、必ず神々から罰を受けるであろう。正直な者は、神々が依怙贔屓してくれてすぐさま利益を受けるわけではないが、最終的には大自然からも憐れみを受けて恩恵に与ることになるだろう。

八幡大菩薩の託宣 原文と意味

原文(読み下し文):鉄丸を食すと雖も心汚れたる人の物を受けず、銅焔(どうえん)に座すと雖も、心穢れたる人の処に到らず。

謹解:神々は鉄の塊を食べる事がもしかしたらあるかもしれないが、心に不正があり、穢れた人からの食べ物は受け付けない。火で熱せられた銅の上に座すと言う事があるかもしれないが、心に不正があり、穢れた人の所には決して赴かない。

春日大明神の託宣 原文と意味

原文(読み下し文):千日の注連(しめ)を曳くと雖も邪見の家には到らず。重服深厚たりと雖も慈悲の室に赴くべし。

謹解:神々は例え千日の間しめ縄をめぐらして清浄な斎庭をこしらえたとしても、邪な考えを持つ者の家を訪れる事はない。喪に服している家だとしても、慈悲深い者がいる場所には赴く。

三社託宣の内容と意義

天照大御神の託宣は、「正直」であるべきことを説き、八幡台菩薩の託宣は「清浄」であることを、そして春日大明神はの託宣は「慈悲」を持つべきことを説きます。

清明正直や三種の神器の解釈として考えられた「智仁勇」と共通する部分がありますね。

おすすめ関連記事

清明正直につきましては「清明正直ー神道の倫理観ー」でまとめて居ます。また、三種の神器から導かれる倫理論につきましては、「三種の神器と帝師「杉浦重剛」」で紹介しています。

比較参考にされると神道が求めている人間像の理解ができるかもしれません。

「正直」「清浄」「慈悲」であれば神々の恩恵を受けられるという事ですので主体的な、自律的な道徳的目覚めを呼び起こすと言うより、いい子であれば玩具を買ってあげると言ったような外在的な要因によって道徳心を湧き起こさせ、信仰心がくすぐられる内容になっています。

とは言え「日本の大道はこの託宣に止まり候、千言一句の神託なり」 と感銘を誘われるだけあって、且つ分かり易く神道の倫理観を表している様に感じられます。自身の修身にはもってこいの金言です。

掛け軸カッコイイからいつか入手したいっす・・・。

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神田 哲拓
神田 哲拓
神道ブロガー。神道研究で得られた智慧の共有をモットーに、神社や神道記事を執筆しています。 神社大好き人間(神社検定壱級)兼 大家さん(現在戸建1戸+宅建士)兼 サラリーマン。 神道研究とフォルクローレに没頭したい。あはれ、 あなおもしろ、 あなたのし、 あなさやけ、おけ。我が信ずるところに従いまして言の葉を紡ぎます。
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