祝詞

大祓詞謹解【祝詞マスターの道】

瀬織津比売神(せおりつひめのかみ)、速開都比売神(はやあきつひめのかみ) 、気吹戸主神(いぶきどぬしのかみ)、速佐須良比売神(はやさすらひめのかみ)この4柱の神々は祓の大神とされ、大祓詞でも登場します。

御神名を拝するだけで気持ちが洗われる様な気持ちの良い心持になる様な気がします。この記事では祝詞の中の祝詞、大祓詞を勉強していきたいと思います。

大祓詞(オオハラエノコトバ)

意味さえ分かれば、儀式中の祝詞も子守唄ならぬ子守言葉にはならず、ありがたく聞けると思います。

と言うものの最初の方からすでに意味が分からない言葉あります。しかし、じっくり文章を見て行けば大まかな意味は見えてくると思います。

最初の方は天孫降臨の事を述べ(前段)、次に犯してしまった或いは犯したであろう罪が述べられ(中段)、次に段々と祓い清められて行く内容となっていきます(後段)。

どちらかと言うと天下国家の為に奉唱される祝詞ですが、大祓詞で語られる様な、穢れが祓われて行く雄大な比喩表現はそれらをイメージするだけでも清々しい気持ちなります。

御自身の祓いから進んで天下国家の祓いに心をいたし、大祓詞が冠する「大」の様に自我を大きく広げて他者にわが日本に他国に世界に共感力を高めて行きたいですね。

大祓は神道人は必見の『延喜式』に従うと六月晦大祓(みなづきのつごもりのおほはらひ)と記されていて、「十二月も此にならへ」とされています。

朝廷の儀式ですので私たちが神社で頂く大祓詞には、一番最初の部分や最後の部分が端折られている事が多いです。

大祓詞原文『延喜式』巻八祝詞 準拠

先ずは、普段は読まない大祓詞部分。最初の部分ですね。

集侍はれる親王 諸王 諸臣 百官人等諸聞食せと宣る
天皇が朝廷に仕奉る 比礼挂くる伴男 手襁挂くる伴男 靫負ふ伴男 剱佩く伴男 伴男の八十伴男を始めて 官官に仕奉る人等の 過犯しけむ雑雑の罪を 今年の六月の晦の大祓に 祓給ひ清給ふ事を 諸聞食せと宣る

(うごなはれるみこたち おほきみたち まえつきみたち もものつかさのひとたちもろもろきこしめせとのる
すめらがみかどにつかへまつる ひれかくるとものを たすきかくるとものを ゆぎおふとものを たちはくとものを とものをのやそとものををはじめて つかさづかさにつかえまつるひとどもの あやまちおかしけむくさぐさのつみを ことしのみなづきのつごもりのおおはらへに はらひたまひきよめたまふことを もろもろきこしめせとのる)

大祓詞前段部分:

高天原に神留り坐す 皇親神漏岐神漏美の命以ちて 八百万の神等を 神集に集賜ひ 神議に議賜て 我が皇孫之尊は 豊葦原の水穂の国を 安国と平けく所知食と事依し奉き
如此依し奉し国中に荒振神達をば 神問しに問し賜ひ 神掃に掃賜ひて 語問し磐根樹の立草の垣葉をも語止て 天磐座放ち 天の八重雲を伊頭の千別に千別て 天降依し奉き
如此依さし奉し四方の国中と 大倭日高見之国を安国と定奉て 下津磐根に宮柱太敷立て 高天原に千木高知て 皇御孫之命の美頭の御舎仕奉て 天之御蔭日之御蔭と隠坐て 安国と平けく所知食む

(たかまのはらにかむづまります すめむつかむろぎかむろみのみこともちて やおよろずのかみたちを かむつどへにつどへたまい かむはかりにはかりたまひて あがすめみまのみことは とよあしはらのみずほのくにを やすくにとたひらけくしろしめせとことよさしまつりき
かくよさしまつりしくぬちに あらぶるかみどもをば かむとはしに とはしたまひ かむはらひにはらひたまひて ことどいしいわねこのたち くさのかきはをもことやめて あめのいわくらはなち あめのやへぐもをいづのちわきにちわきて あまくだしよさしまつりき
かくよさしまつりしよものくになかと おほやまとひたかみのくにをやすくにとさだめまつりて したついはねにみやばしらふとしきたて たかまのはらにちぎたかしりて すめみまのみことみづのみあらかつかえまつりて あめのみかげひのみかげとかくりまして やすくにとたひらけくしろしめさむ)

大祓詞中段部分:

国中に成出む 天の益人等が 過犯けむ雑々の罪事は
天津罪と 畦放 溝埋 樋放 頻蒔 串刺 生剥 逆剥 屎戸 ここだくの罪を 天津罪と法別て
国津罪と 生膚断死膚断 白人胡久美 己が母犯罪己が子犯罪 母と子と犯罪子と母と犯罪 畜犯罪 昆虫の災 高津神の災 高津鳥の災 畜仆し蟲物為罪 ここだくの罪出でむ
如此出ば 天津宮事を以て 大中臣天津金木を本打切末打断て 千座の置座に置足はして 天津菅曾を本苅断末苅切て 八針に取辟て 天津祝詞の太祝詞事を宣れ

(くぬちになりいでむあめのますひとらが あやまちおかしけむくさぐさのつみごとは
あまつつみと あはなち みぞうめ ひはなち しきまき くしさし いけはぎ さかはぎ くそへ ここだくのつみを あまつつみとのりわけて
くにつつみ いきはだたち しにはだたち しろひと こくみ おのがははおかせるつみ おのがこおかせるつみ ははとことおかせるつみ ことははとおかせるつみ けものおかせるつみ はふむしのわざはひ たかつかみのわざはひ たかつとりのわざはひ けものたおし まじものせるつみ ここだくのつみいでむ
かくいでば あまつみやごともちて おおなかとみあめつかなぎをもとうちきりすえうちたちて ちくらのおきくらにおきたらはして あまつすがそをもとかりたちすえかりきりて やはりにとりさきて あまつのりとのふとのりとごとをのれ)

大祓詞後段部分:

如此乃良ば 天津神は天磐門を押披て 天之八重雲を伊頭の千別に千別て所聞食む 国津神は高山乃末短山之末に登坐して 高山の伊穂理短山の伊穂理を撥別て所聞食む
如此所聞食てば 皇御孫之命の朝廷を始て 天下四方国には 罪と云ふ罪は不在と 科戸之風の天之八重雲を吹放事之如く 朝之御霧夕之御霧を朝風夕風の吹掃事之如く 大津辺に居る大船を 舳解放艫解放て大海原に押放事之如く 彼方之繁木が本を焼鎌の敏鎌以て打掃事之如く 遺る罪は不在と 祓賜ひ清賜事を 高山之末短山之末より 佐久那太理に落多支都速川の瀬に坐す瀬織津比咩と云神大海原に持出なむ 如此持出往ば 荒塩之塩の八百道の八塩道之塩の八百会に坐す速開都比咩と云神 持かか呑てむ 如此かか呑ては 気吹戸に坐す気吹主と云神 根国底之国に気吹放てむ
如此気吹放ては 根国底之国に坐す速佐須良比咩と云神 持さすらひ失てむ
如此失てば 今日より始て罪と云ふ罪は不在と如此失てば 今日より始て罪と云ふ罪は不在と 高天原に耳振立聞物と馬牽立て 今年の六月の晦日の 夕日之降の大祓に 祓給ひ清給ふ事を 諸聞食せと宣る

(かくのらば あまつかみはあめのいはとをおしひらきて あめのやへぐもをいづのちわきにちわきてきこしめさむ くにつかみはたかやまのすえひきやまのすえにのぼりまして たかやまのいほりひきやまのいほりをかきわけてきこしめさむ
かくきこしめしてばつみといふつみはあらじと しなとのかぜのあめのやへぐもをふきはなつことのごとく あしたのみぎりゆうべのみぎりを あさかざゆうかぜのふきはらふことのごとく おほつべにをるおほぶねを へときはなちともときはなちておほうなばらにおしはなつことのごとく おちかたのしげきがもとをやきがまのとがまもちてうちはらうことのごとく のこるつみはあらじとはらひたまひきよめたまふことを たかやまのすえ ひきやまのすえより さくなだりにおちたきつ はやかはのせにますせおりつひめといふかみ おほうなばらにもちいでなむ かくもちいでいなば あらしほのしほのやほぢのやしほぢのしほのやほあひにます はやあきつひめといふかみ もちかかのみへむ かくかかのみてば いぶきどにますいぶきどぬしといふかみ ねのくにそこのくににいぶきはなちてむ
かくいぶきはなちてば ねのくにそこのくににます はやさすらひめといふかみ もちさすらひうしなひてむ
かくうしなひてば すめらがみかどにつかへまつるつかさづかさのひとどもをはじめて あめのしたよもには けふよりはじめてつみといふつみはあらじと たかまのはらにみみふりたてて きくものと うまひきたてて ことしのみなづきのつごもりのひのゆふひのくだちのおほはらひに はらひたまひきよめたまふことを もろもろきこしめせとのる)

文末普段読まない部分:

四国の卜部等 大川道に持退出て祓却と宣る

(よくにのうらべども おおかわぢにもちまかりいでてはらいやれとのる)

大祓詞前段の意味

高天原のカムロギとカムロミの命が神々をお集めになって会議を行い、稲穂が実る豊かな国を平安な国となる様に治めなさいと瓊々岐命(ニニギノミコト)にご一任された。

そしてその国には、従わない神がおられ、草木が言葉を話すなど、荒れた様子だったので、何故従わないのか問いかけ交渉し、時には武を以って払い去ってしまいました。

そうして言葉を話す草木も静かになったので、 瓊々岐命(ニニギノミコト) は天の御座所から立ち上がり、何重にも重なる雲を押しのけて、天よりお降りになられました。

大和の国の都を定められまして、そこに地中深くにある岩盤に柱を建て、高天原に届くような千木を頂く宮殿をお築きになられました。天の光をも遮ってしまうような見事な宮殿に瓊々岐命(ニニギノミコト)は籠られこの国の統治に当たられます。

大祓詞中段の意味

平穏無事になったこの国中に、繁栄を旨とする人々が罪を犯しはじめるようになりました。

(1)天津罪:

  1. 畔放ち(水田の畔を破壊する事)
  2. 溝埋め(水田の用水路を埋める事)
  3. 樋放ち(木材などで作った用水設備を破壊する事)
  4. 頻蒔き(すでに蒔いてある種と別の種のを蒔く事)
  5. 串刺し(家畜を串刺しにする事)
  6. 生剥ぎ(家畜の皮を生きたまま剥いでしまう事)
  7. 逆剥ぎ(家畜の皮をお尻の方から剥いでしまう事)
  8. 屎戸(神聖な場所に糞や尿をまき散らす事)

(2)国津罪:

  1. 生膚断(生きている人の肌を傷つける事)
  2. 死膚断(死んだ人の肌を傷つける事)
  3. 白人(肌が白くなる病気の事)
  4. 胡久美 (肌にコブができる病気)
  5. 己が母犯す罪(自分の母と通じる事)
  6. 己が子犯す罪(自分の子と通じる事)
  7. 母と子と犯す罪(女性と通じ、その女性の娘とも通じる事)
  8. 子と母と犯す罪(女性と通じ、その女性の母とも通じる事)
  9. 畜犯す罪(獣姦)
  10. 昆虫の災(ムカデや蛇から害を受ける事)
  11. 高つ神の災(神々から落雷を受ける事)
  12. 高つ鳥の災(鳥類から害を受ける事)
  13. 畜たおし蟲物する罪(獣を生贄として、呪術を行う事)

上記の罪をここだくと、沢山犯してしまうのです。

そうであれば、天上で行われている儀式を再現し、堅い木の根元を切り末枝を切って机上に並べ、同様に麻の根本と末枝を切り揃えて、それをさらに八つ裂きにしてから、天上から伝わっている祝詞を奏上いたしましょう。

大祓詞後段の意味

この祝詞を唱え奉れば、天津神達も門を開け放って、雲をかき分けて聞いてくださる。そして、国津神達も高い山や低い山はあれどもその山頂に立ち、裾野に広がる霧をかき分けて聞いてくださる。

そして、神々が我々の願いを聞いてくださった結果、罪は悉く消滅するでしょう。それはあたかも、風が吹いて雲を散らす様に、朝や夜に起こる霧が朝に起こる風、夜に起こる風がそれらを吹き散らす様に、港に繋がれている船の縄を解いて、海に向かって押し放つように、繁茂して手の付けられない木々を鎌を以って切り裂いてしまう様に残る罪はなく消えてしまうのです。

この罪は神々が消し去ってくれるのです。高い山、低い山色んな山がありますが、その頂上から水が勢い良く流れ込み、速い流れとなっている川に居られる瀬織津比売(セオリツヒメ)が罪を海に運んでくれます。次に勢いのある潮の流れがぶつかり合い渦を巻いている所に居られる速開都比売(ハヤアキツヒメ)が罪を飲みこみ、風が起こる場所に居られる気吹戸主(イブキドヌシ)が根の国に罪を吹き放ちます。

そして、根の国に居られる速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)が罪を背負われて根の国を流離って罪を消滅せしめます。

最後の方については、お持ちの祝詞集によって内容が異なっています。概ね下記の通り分類されるかと思います。

(1)かくのごとく、罪と言う罪を消滅させる為に祓い清めてくださる様、天津神、国津神、八百万の神々達、お聞き入れくださいますようお願い申し上げます。

(2)かくのごとく、天下の隅々まで今日から罪はすべて消滅し、今日の大祓の儀式において祓って下さる様、この願いを聞いて頂きたく宣言いたします。

以上 大祓詞の意味を謹解してみました。天津祝詞の太祝詞事は何のことか諸説あり、正確な意味が分かりません。

大祓詞を真に解すれば一人前と言われたりしますが、先ずは暗記し朝起きた直後や夜の寝る前に唱えて、慣れ親しみ徐々に自分なりの解釈ができれば良いですね。

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神田 哲拓
神田 哲拓
神道ブロガー。神道研究で得られた智慧の共有をモットーに、神社や神道記事を執筆しています。 神社大好き人間(神社検定壱級)兼 大家さん(現在戸建1戸+宅建士)兼 サラリーマン。 神道研究とフォルクローレに没頭したい。あはれ、 あなおもしろ、 あなたのし、 あなさやけ、おけ。我が信ずるところに従いまして言の葉を紡ぎます。

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