神職への道

神職にはどうやってなるのか?

この記事では神職になるにはどうすれば良いのかを「階位検定及び授与に関する規程(平成23年10月改訂)」に準拠しながらまとめています。

神職になる方法としては國學院大学か皇學館大学を卒業しなければならないイメージですが、調べると結構色んな方法があるんです。

神職の不足=後継者も不足するのでは問題

『改訂・神道教化概説』床本光政・澁川謙一著及び『神社本庁規定類集』神社新報社を参考に、神職は実は足りてない?から始めたいと思います。

沢山の神社をまとめ、ひいては組織的に神道の啓蒙に努めようとする「神社本庁」と言う団体があります。

その団体に所属する神社は約8万社、そしてその神社で奉職する人たちは約2万人とされています。

単純に神職1人につき4社を兼務することになる計算。

対して仏教界について言えば、約7万のお寺があり、僧侶は18万人いるそうです。

つまり一つのお寺に2人の僧侶がお勤めされていることになります。

色んな問題が背景にあるとは思いますが、有名な神社は大丈夫でも、特にアクセスの良くない神寂びた神社の守り手が減ってしまいどんどん数が減っていくのでは?と私の中で危機意識を持っています。

ちなみにわたしの実家近くの小さな祠も無くなってしまって、悲しい思いをしております(古事記には登場しないのですが、わたしの幼少期から鎮座されてた土地神様でした)。

『改訂・神道教化概説』77頁に「神職数を更に増加せしめる方途を講ぜねばならない」で結ばれていますが、わたしもその様に思います。

色んな人たちに神道の魅力を伝えるとの観点から申しましても、その主体者はやはり神職であり、その人数が少ないと言うことは、即ち啓蒙活動の基礎体力が弱ると言う事でもあります。

さて僧侶養成との比較が参考になって来るとは思いますが、今回は現状の神職養成についてまとめていきたいと思います。

神主・神職・宮司等呼称がいっぱい

一般的に神社で祝詞をあげたり、境内を祓い清められている方を神主さん(カンヌシさん)とお呼びしたり、宮司さんと言ったりします。

そして神職と言っても身分や級、階位等少し込み入っていて分かりにくいのです。

神職になるにはどうすれば良いのかの観点からも、この込み入った部分を理解して行くことは有益だと思いますので順番に確認していきましょう。

神職の名称

神職とは当然のことながら神社の職員を指します。

しかし下記一覧に記載がされていないポストは厳密には神職とは言わない様です。

①が一番偉くて④が下位となっています。

  1. 宮司
  2. 権宮司(神社本庁の統理が認めた場合に設置されるポスト)
  3. 禰宜
  4. 権禰宜

統理とは:

神社本庁の意思決定機関である評議員会により選任されて就くポストで、神職や職員を統督(全体をまとめて取り締まりを)する人、ルールを全体に伝えたり懲戒権限を持っていたりする偉い人。

上記の他に、出仕と呼ばれる職名もあるのですが、神職ではありません。

丁稚奉公、見習いさん扱い。

しかしながら、将来神職になった場合は出仕としての奉職期間も神職の経験年数に含まれるとの取り扱いがなされています。

宮司は、その神社の代表役員で所謂社長さん、その神社の総監督。

宮司さんとその他の神職は第一に神道に基づく宗教活動、第二に法人としての事務もやらなければいけないのです。

祭祀と経営ですね。

神職になるための資格『階位』について

神職になる為には、資格=階位が必要。

神社本庁傘下の神社で神職として祭祀を行う人は必須の資格

「階位検定及び授与に関する規程」を基に見て行きましょう。

この資格は国家資格ではなく、上記神社本庁の『階位検定委員会』によって、「候補者の性行、経歴、試験の成績等により検定し、適格者には統理が階位証を授ける」とされています。

  1. 浄階
  2. 明階
  3. 正階
  4. 権正階
  5. 直階

ちなみにですが、階位の名称は清明正直と言われる神道の倫理観から採用されております。

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清明正直についてまとめています。神道が求める人間のあり方とはなんぞや!「清明正直ー神道の倫理観ー」。

浄階はウィキペディアには名誉階位であると説明されていますが、具体的には「階位検定委員会」で選考し役員会の承認を経てはじめて検定を行うと記述されています。

その選考の対象となる者と大体以下の通りです。

  1. 神職である事。神宮(伊勢神宮)の禰宜以上、及び「別表神社」の宮司又は権宮司として20年以上在職し成績優秀と認められる者。
  2. 明階を有する者で「身分二級上」(後ほど説明)の神職で、成績が特に優秀な者若しくは神社本庁で適当と認められた者。

この説明をそのまま理解すれば自分から願書を出して試験を受けると言う事ではなく、在職年数や偉い方々の意向によって決められると言う事になります。

①の浄階はさておいて他の階位を取得する方法についてですが、おおまかに1.試験検定 2.無試験検定に分かれてきます。

階位の取得方法Ⅰ「試験検定」

資格試験と同じ様に、勉強してテストを受けて及第すれば資格が頂けるもの(但し神務実習を修了し、自己申請しないと正式に授与されません。検定合格者と階位授与者は全然違う概念です)。

②明階、③正階、④権正階の試験が実施されています。⑤直階はないんです。

試験資格について

②明階⇒高等学校を卒業した者及びこれと同等の以上の資格を有する者か正階を有する者

③正階⇒権正階を有する者

④権正階⇒高等学校を卒業した者及びこれと同等の以上の資格を有する者か直階を有する者

従いまして高卒の人は、階位を持っていなくても②明階と④権正階の受験が可能と言う事になります。

試験場所について

②明階のみ神社本庁で、③正階、④権正階は事前に決められた神社庁でも試験が受けられます。

試験内容について:

筆記試験、実地試験、小論文及び口述試験が行われ、②明階のみ小論文、③正階、④権正階は口述試験に代えて口頭試問でも良いと規定されています(正階以下の場合口頭試験を省くこともできるとの記述もあります)。

明階学科目ー神道概論、神道史、祭祀概論、神道神学、神道古典Ⅰ(古事記)、神道古典Ⅱ(日本書紀)、神道古典Ⅲ(延喜式祝詞)、神道文献、神社祭式同行事作法(含神社有職故実)、祝詞作文、神道教化概論、神社関係法規、宗教学概論、世界宗教史、日本宗教史、国史学、国文学、哲学、心理学、倫理学。なななななんと20科目・・・!!

正階学科目ー神道概説、神道史概説、祭祀概論、神道神学、神道文献、神道古典(日本書紀)、神社祭式同行事作法(含神社有職)、祝詞Ⅰ(延喜式祝詞)、祝詞Ⅱ(作文)、神社関係法規、世界宗教概説、国史、国文(含漢文)。14科目。

権正階学科目ー 神社神道概説、神道古典(古事記)、神社祭式同行事作法(含神社故実)、祝詞Ⅰ(祝詞例文集)、祝詞Ⅱ(作文)、神道教化概説、神社関係法規、日本宗教概説、国史、国語、倫理(国民道徳)。11科目。

これだけ科目があるとなんだかひるんでしまいますが・・・。

階位が欲しい人は信仰心で乗り切りましょう・・・(と無慈悲なフォローで終わってはあれですね。実はこの試験検定は何度もチャレンジできて合格した科目は次回試験で免除になるとの措置が取られています『階位検定及び授与に関する規程6条参照』)。

検定料について

①明階⇒20,000円

②正階⇒18,000円

③権正階⇒15,000円

試験検定の場合、2回目以降は半額で受験できる様です。

近く最寄りの神社庁に問い合わせて願書を取り寄せたいと思います。

階位の取得方法Ⅱ「無試験検定」

検定試験を受けずに、学校などで一定の過程(コース)を修了すると無試験検定合格者となったり或いは階位をすぐに授与される制度です。

②明階の場合

  1. 神職高等試験に合格者(戦前に実施されてた試験で、もう該当者は居ないかもしれないです)。
  2. 神宮皇學館大學学部、専門部又は本科卒業した者(旧皇學館大學)。
  3. 皇典講究所「学階」の「学正」の取得者(こちらもすでに解散している組織です)。
  4. 國學院大學学部又は専門部を昭和23年までに卒業し、在学中に「礼典」を履修した者。
  5. 神社本庁指定の高等神職養成機関を卒業又は修了、且つ在学中に明階の検定学科目を履修した者。
  6. 神社本庁が承認した神職養成機関高等課程を修了した者。
  7. 元奏任官待遇以上の神官神職であった人で神社庁長が認めた者(奏任官も神官神職も今は制度としてなく、神職が公務員に準じていたり、伊勢の神宮の祀職が「神官」と呼ばれていた時の話、内閣総理大臣の任命を受けて神宮で奉職していた者の事です)。
  8. 神職であって大学学部か神職養成機関普通課程修了者で、③正階授与から10年以上、短大卒業(同等以上の学校卒業者)は13年、その他は15年以上在職していて、神社庁長が学識、成績が特に優秀と認めた者。
  9. 神社本庁が認めた神職養成機関で「専攻過程ⅠとⅡ」を修了した者。
  10. 同じく専修過程を修了した者。
  11. 本庁が承認した明階総合過程を修了した者。

原文は規程集なので、完全に行政文章、かなりとっつきにくいです(汗)

文章そのまま記載せず文意をそがない程度にアレンジしてます。

①②③④⑦は、昔から神社界に関わってきた方に対する措置だと思いますので、学生や一般社会人には縁遠い明階取得方法だと思います。

⑤の「高等神職養成機関」が何であるのか現状研究不足で判然としません。

⑪につきましてはほとんど昇階に関する意味だと思いますので、そもそも階位を持っていない人にとっては無関係の規定です。

一般の人が気になる項目としては⑥⑨⑩⑪ですのでこの点詳しく見ていきましょう。

神職養成機関においては下記の過程が設けられていて、過程を修了すると階位が授与されます。

過程一覧:

○予     科
(中学校卒業対象、1年課程。修了時に直階が授与されます。)
○普通課程 I 類
(高等学校卒業者対象、1年課程。修了時に権正階が授与されます。)
○普通課程II類
(高等学校卒業者対象、2年課程。修了時に正階が授与されます。)
○専 修 課 程
(普通課程Ⅱ類修了、正階所有、短期大学卒業のいずれかに該当する者対象、2年課程。
 修了時に明階検定合格となり正階が授与されます。)
○高 等 課 程
(高等学校卒業者対象、4年課程、大学学部に設置。卒業時に明階検定合格となり正階が授与されます。)
○専攻課程 I 類
(大学卒業者対象、1年課程。大学の神道学専攻科に設置。修了時に明階検定合格となり正階が授与されます。)
○専攻課程II類
(大学卒業者対象、2年課程。大学院に設置。修了時に明階が授与されます。)
○明 階 総 合 課 程
(國學院大學・皇學院大学の高等課程4年在籍者及び既に神職課程を修了した者が対象、6ヶ月課程。
 國學院大學・皇學院大学に設置。卒業時に明階が授与されます。)

引用:京都國學院
http://kyoto-kokugakuin.ac.jp/monkai.html

上記過程の内、高等課程・専修課程・専攻課程Ⅰ類を修了すると「明階検定合格正階授与」されるのですが、この意味は正階は授与されていて、明階の検定には合格していてるが授与はされてませんよーと言う事。

戦後意識されるようになった行学一致の観点から「明階検定合格」の者には神社本庁包括下の神社で2年以上奉職し所定の手続きを経て明階が授与されます。

③正階の場合:

  1. 神職尋常試験に合格した者。
  2. 社司掌試験に合格した者。
  3. 神宮皇學館の普通科又は専科を卒業した者。
  4. 皇典考究所の学階「司業」を有する者、または神職養成部を卒業した者。
  5. 大学の学部2年以上修了し、神宮皇學館研究科を昭和31年以後に卒業した者。
  6. 元判任待遇以上の神官神職で神社庁長において神職として適当と認められた者。
  7. 正階検定講習会を修了した者。
  8. 神社本庁が承認した甲種普通神職養成機関の本科を卒業した者。
  9. 神職で、権正階を授与されて10年以上在籍する者または、7年以上在籍し47歳を過ぎた者。その他の者で短期大学卒業又はこれと同等以上の学校を卒業した者で、次のいずれかに該当し、神社庁長がその成績が特に優秀と認めた者。次の者とは(イ)神社本庁総合研究所研修規程に定める研修を修了した者。(ロ)神道に関し学識ある者。
  10. 神社本庁が承認した神職養成機関普通課程Ⅱ類を修了した者。

正階についても、今の我々では制度的に利用できそうにないものがあり、①②③④⑤⑥等がそれに当たります。⑥の判任官とは、総理大臣より任命される奏任官に比べてやや格が下がり、各所轄大臣から任命される官吏(今で言う公務員)の事を指します。

こちらも「待遇」とついていますので、判任官に等しいという意味で厳密に言えば判任官ではないという事です(因みに奏任官の上に「勅任官」があり、天皇陛下から任命を受ける高等文官の事を言います。明治憲法下での話で今ではこの制度はありません)。

⑦の神職養成講習会は、現に神職である者か資格取得後にすぐに神社に奉仕する者であって、講習会を行う主催地県内に住んでいる者は神社の宮司さんか支部長、県外であればその住んでる地域を管轄する神社庁長の推薦書が必要になります。

正階の場合は、短期大学卒業者及びこれと同等以上の学校卒業者または、大学学部3年以上に在籍している者で権正階を有していて主催者が適当と認めた者が受講できます。

要するに講習会は速成栽培、神職としての素養を養う期間が短いので、特別中の特別、受講のハードルが高いですね。

④権正階の場合:

  1. 神社本庁が承認した乙種普通神職養成機関の本科を卒業した者。
  2. 神社本庁が承認した甲種普通神職養成機関の本科第一学年の課程を修了した者。
  3. 直階を有する神職、または神宮若しくは別表神社の雇員で直階を授与されてから7年以上在職し、次のいずれかに該当する者。次の者とは(イ)神社本庁総合研究所研修規程に定める研修を修了した者。(ロ)年齢が40歳以上の者。
  4. 直階を持っており、一年以上神社実務を経験し神社庁長において適任と認めて推薦した者。この方法で権正階を取得した場合は、「正階試験検定」の資格者と認められず、「神職で、権正階を授与されて10年以上在籍する者または、7年以上在籍し47歳を過ぎた者。その他の者で短期大学卒業又はこれと同等以上の学校を卒業した者で、次のいずれかに該当し、神社庁長がその成績が特に優秀と認めた者。次の者とは(イ)神社本庁総合研究所研修規程に定める研修を修了した者。(ロ)神道に関し学識ある者。」の規程も適用されない。
  5. 権正階検定講習会を修了した者。
  6. 神社本庁が認めた神職養成機関普通課程の第一学年を修了した者。
  7. 神職養成通信教育の権正階過程を修了した者。
  8. 神社本庁が承認した神職養成機関普通課程Ⅰ類を修了した者。

①②の甲・乙神職養成機関は現在ではないものと思われます。ここで注目すべきは⑦通信教育ではないでしょうか。

大阪國學院( http://www.osaka-kokugakuin.or.jp/ ) のみで実施していて、「通信学習」「面接学習」「神務実習」を通じて資格を取得します。

「通信学習」でそれぞれの科目を参考書や教員の学習指導書を以って自習し、それぞれの単元で課題がだされ、その回答を期限までに学校に提出。そのレポートが単元の合否判定の一つになる様です。

「面接学習」は、祭式や訓話等、学校に通い学ぶことで1年次は13日、2年次は14日の計27日設けられています。

基本的に土日に設定されている為、普段仕事をしている方々の事が考慮されています。

試験などもこの面接学習の日数含まれていて、前記のレポートとこの期末試験で成績評価が行われます。

「神務実習」は通信制に限らず、階位取得に際して共通の要件になっています(後述)。

直階と権正階の2つを取得でき、「予科」と「普通課程Ⅰ」の過程と似た学習過程です。

但し、大阪國學院の入学に際しては神社庁長の推薦状が必要で、やや入学のハードルが高くなっています。

やはり社家の子弟を前提に作られた資格取得の方法なのかもしれません。

権正階検定講習会の参加要件は、満18歳以上の者で直階を授与されていて、養成機関が適当と認めた者とされています。こちらも講習会を行う主催地県内に住んでいる者は神社の宮司さんか支部長、県外であればその住んでる地域を管轄する神社庁長の推薦書が必要になります。

⑤直階の場合:

  1. 神社本庁が承認した普通神職養成機関の普通課程の予科を修了した者。
  2. 直階検定講習会を修了した者。
  3. 神社本庁が承認した神職養成機関の「予科」を修了した者。
  4. 神社庁長により、特に徳望があり適任と認めた者で、特別講習を修了した者。但しこの規定により直階を取得した者は、「直階を持っており、一年以上神社実務を経験し神社庁長において適任と認めて推薦した者。」による規程を以って権正階を取得できなくなる。
  5. 神職養成通信教育に関する規程に定める権正階過程の第一学年を修了した者。
  6. 神職養成通信教育に関する規程に定める直階課程を修了した者。

②の直階検定講習会の参加要件は、同じく推薦書が必要で。高等学校以上の学校卒業者又はこれに準ずる者で講習会の主催者が適当と認めた者となっています。

④の「所定の特別講習」とは、神社庁長が下記の講義を5日間わたり行うものを指します。
ー神社祭式同行事作法 30時間以上
ー祝詞(購読並びに作文)10時間以上
ー関係法規 5時間以上
講師については、階位検定講習会の講師が担う事になっています。

まったく道縁がなく階位を持っていない者にとっては登竜門となる階位です。

③が一番現実的、権正階や正階取得の単なる過程と言ったイメージがありますが、私の中では祭祀のプロと言う位置づけです。

神職養成機関:

すべて神職養成機関ですが、上記「課程」は機関によって様々。國學院と皇學館は神職養成の中心的な場所と言った感じです。

  1. 國學院大學ー東京都
    https://www.kokugakuin.ac.jp/
  2. 皇學館大學ー三重県
    https://www.kogakkan-u.ac.jp/
  3. 京都國學院ー京都府
    http://kyoto-kokugakuin.ac.jp/index.html
  4. 大阪國學院ー通信制
    http://www.osaka-kokugakuin.or.jp/
  5. 神宮研修所ー三重県
    https://www.isejingu.or.jp/about/cultural/kenshusho.html
  6. 大社國學館ー島根県
    http://www.izumooyashiro.or.jp/kokugaku
  7. 志波彦神社鹽竈神社神職養成所ー宮城県
    http://www.shiogamajinja.jp/trainingschool/
  8. 出羽三山神社神職養成所ー山形県
    http://www.dewasanzan.jp/publics/index/1/
    ※神職養成についての記載ページなし。2019/8/31閲覧
  9. 熱田神宮学院ー愛知県
    https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/facilities/jingugakuin/

階位の取得方法Ⅲ「神務実習」

「試験検定」「無試験検定」に関わらず、「神務実習」を経なければ階位が取得できない仕組みになっています。

例えば、明階合格していても1.基礎実習しか行っていない場合は直階が授与されるにとどまります。

これも行学一致の観点から導入されたシステムの様です。

但し通学者の場合、神務実習もカリキュラムに組まれている事もあるので、卒業してから即正階が授与されたりします。

【階位】【必要神務実習内容】
直階1.基礎実習
権正階1.基礎実習 2.指定神社実習
正階1.基礎実習 2.指定神社実習 3.個別神社実習
明階1.基礎実習 2.指定神社実習 3.個別神社実習  4.神宮実習 5.中央実習

1.基礎実習
下記内容について合計15時間以上にわたり実施。
①朝夕の神拝行事
②神職奉務心得(講義)
③神職奉仕体験(先輩神職を中心とする座談会)
④神社参拝と神社概要の見学

①~④までそれぞれ何時間せよとの指定はされていません。

2.指定神社実習
合計200時間以上にわたり実施される実習で、総時間も長く内容が充実しています。

【指導名】 【指導内容】【指導時間】 
基礎指導実習神社の概要、実習中の心構、礼儀作法、その他5時間以上
信仰指導1神社奉仕の心構、神職の心得、潔斎、神道行法、その他15時間以上
信仰指導2宿衛、当直、清掃、社頭実務、授与品の奉製・取扱い、その他20時間以上
祭儀指導1神社祭式同行事作法の復習、朝拝、祭典参列、その他20時間以上
祭儀指導2緒祭奉仕、祭場舗設、神饌調理、その他20時間以上
祭儀指導3祝詞作文、同奏上法、その他10時間以上
祭儀指導4衣紋及び装束取り扱い、社殿装飾、その他10時間以上
実務指導庶務関係、財務関係、その他10時間以上
教化指導社頭講話、講社、外郭団体等指導法、その他10時間以上

実習神社で宿泊しなければならない点も含めますと神務実習の中核と言えるかもしれません。上

記の指導時間を足すと120時間ですので、どれかの科目の指導時間が長くなります。

これ以外にも、随意科目として神社音楽、書道、作歌、朗詠等を付け加える事も可能な様です。

指定神社は①常勤神職が宮司含めて3名以上、その中の一人は明階所持者が奉仕する神社。

②実習者を宿泊奉仕させることができ且つ指導体制と規模を有する神社であることが要件となっています。

3.個別神社実習

個別神社実習とは神社本庁に包括される任意の神社でこれまで得た信仰、知識、技能等を実際の場で生かし神明奉仕の体験を得させるものとされています。

内容は上掲の指定神社実習に準じるものとされ、こちらも合計200時間以上の実施が求められています。

4.神宮実習

神宮(伊勢神宮)は神社本庁の本宗とされていて、神社本庁は「奉賛を捧げる」と規定されています。

この大事な神域に臨んで信仰を涵養することを目的としています。

合計70時間以上ですが、神宮と協議の上具体的実習内容を定める事になっています。

①講義      25時間
②祭式及神道行法 10時間
③社頭奉仕    25時間
④その他     10時間

5.中央実習
実習の総括と将来指導的神職となる素地を養うことを目的としています。

合計50時間、神社本庁総合研究所の直接指導により下記の内容の実習が行われます。
①講義 20時間
②その他(座談会等) 30時間

階位の取得方法Ⅳ「授与料」

  1. 浄 階:400,000円
  2. 明 階:130,000円
  3. 正 階:100,000円
  4. 権正階:60,000円
  5. 直 階:40,000円

浄階はすんごい金額ですね。明階も結構な金額です。学生さん大変だ・・・。

身 分

階位や職階とは別に、身分と言う制度が設けられており、その神職の経歴、地位、人格、功績を考慮して決定されます。

偉いポジションにいる人は自ずからこの身分も高くなるのですが、特定の階位を授けられていないと特定の身分が授けられない様です。

身分は下記の6等級。所謂出世の階段ですね。

  1. 特級
  2. 一級
  3. 二級上
  4. 二級
  5. 三級
  6. 四級

特級:
1.神社本庁の「統理」
2.「神宮の大宮司」の職にある者。
3.加えて「人格識見共に勝れ多年奉仕神社の経営並びに神徳の発揚に力を效(いた)すと共に斯道の為に貢献するところ多く功績顕著なる者」として功績状を授与された者(表彰規程:第二条第二号授与者)が特級とされます。

一級:
1.神宮少宮司の職にある者で身分選考委員会の選考を得た者。
2.「徳望衆に秀で多年奉仕神社の経営並びに神徳の発揚に力を效(いた)し、地方教化に貢献し功績顕著なる者」として功績状を授与された者(表彰規程:第二条第一号授与者)。
3.浄階を授与されていて身分選考委員会の選考を得た者が一級とされます。

二級上:
1.神宮禰宜の職に在る者
2.「別表神社」の宮司又は権宮司の職にあり、現状身分二級の者
3.身分二級の神職で正階以上で10年勤続で成績優秀な者として神社庁長が内申した者
上記の内、身分選考委員の選考を受けたものを二級上とする。

二級:
1.神宮の禰宜又は権禰宜の職にある者
2.「別表神社」の宮司、権宮司又は禰宜の職にある者
3.三級神職で35年在籍しその成績が良好な者として神社庁長が内申した者
4.正階以上で三級神職として15年以上勤続し、または神職として20年以上在職する者なかで下記の条件の一つでも該当し神社庁長の内申があったもの
 (イ)奉仕神社並びに斯道に対する功績特に顕著な者
 (ロ)表彰規程による表彰状を授与された者
 (ハ)大学卒業者で成績優秀な者
 (ニ)神社本庁、神社庁主催の講習会、神社本庁総合研究所研修規程に定める研修につとめ成績優秀な者
 (ホ)明階を有する神職で成績優秀な者
5.権正階を持ち、三級神職として20年以上勤続、または神職として30年以上在職し、(イ)~(ニ)のどれかに該当し且つ中堅神職研修全課程を修了し神社庁長が特別に推薦する者
上記の内、身分選考委員の選考を受けたものを二級とする。

(新しく「別表神社に」加えられた神社の宮司は、1.~4.に該当しない場合は二級)

三級:
1.神宮の禰宜又は宮掌の職にある者
2.権正階を有する者で統理に任命された者(この場合は事前に神社庁に認定料を納める必要有り)を三級とする。

四級:
上記に該当しない者で統理に任命された者を四級とする(この場合は事前に神社庁に認定料を納める必要有り)。

神職と階位の関係

神職になるには階位が必要とすでに説明しましたが、一定以上の階位を持っていないと神職に任命されない(できない)制度になっています。

1.別表神社の宮司及び権宮司が明階以上、同禰宜は正階以上

2.一般神社の宮司及び別表神社の権禰宜は権正階以上

3.一般神社の禰宜以下は直階以上

4・宮司代務者は別表神社では正階以上、一般神社では権正階以上(但し一般神社においては例外として直階を有する者を任命するケースもあります)。

ここで言う、宮司代務者とは宮司が休職した際や退職した場合の中継役で文字通り代務者の事を言います。

また、何度か本記事にも出てきた「別表神社」とは、一定規模の神社について事務取扱上の必要から「役職員進退に関する規程」において別記された神社の事を「別表神社」言います。

あくまで事務的な取り扱い上必要な区分であって社格の差異ではないとされています。

しかし、我々のイメージで言えば大きな有名な神社と言ったところですね。

「別表に掲げる神社選定に関する件」を読むと別表神社の選定基準を大体把握することができます。

1.由緒

2.社殿、境内等の宗教施設状況

3.常勤神職の数

4.最近三年間の経済状況

5.神社の活動状況

6.氏子崇敬者の概数、その分布等崇敬状況

上記を総合的に考察の上、「別表に掲げる神社審査会」において予選されます。

参考:名誉宮司と長老

全く階位を持たず、斯界に身を置かない人にはあまり関係がありませんが、名誉宮司と長老と言う称号、敬称が準備されています。参考に記載しておきます。

名誉宮司(称号):

「宮司の職に在り、徳望衆に秀で、人格識見共に勝れ、三十年以上その神社に勤続し(または三十五年以上神職の経歴を有し)、功績顕著な者が、齢還暦を過ぎ宮司を退いたときは、奉仕した神社の宮司の具申によって名誉宮司の称号を授与する。」とされています。

名誉宮司の称号を得たものは、下記の待遇を受けます。

  1. 終身保持する身分に応じ祭祀服装を着用し、神社の祭祀に参列できる。
  2. 神社は予算の定めによって年金が贈る事ができる。
  3. 名誉宮司が死亡した際に神社本庁は弔慰金を呈する事ができる。

長老(敬称):

表彰規程第二条第三号の定めによる「徳望衆に秀で人格識見共に勝れ多年奉仕神社の経営並びに神徳の発揚に力を效(いた)し老齢に達する迄神社界の先覚として終始一貫斯道の為に貢献し功績抜群なる者」として功績状を授与された者に対し、「長老」の敬称を送るとされています。

そして下記の通りの待遇を受ける事になります。

  1. 長老名簿への登録。
  2. 古希(70歳)、喜寿(77歳)、米寿(88歳)に相当する歳において敬祝の意を表する。
  3. 神社本庁の祝典に際しては招待する。
  4. 神社本庁の刊行物を贈呈する。
  5. 神職を退いたときは、年金を贈呈する。
  6. 死亡したときは、その旨を公示し、弔辞を呈し、玉串料及び祭粢料を送る。

祭粢(サイシ)とは神様に捧げる供物を意味します。

祭粢料は天皇陛下から下賜される金員で、勅使が遺族のもとへ持参するそうです(すごい・・・)。

神職にはどうやってなるのか? まとめ

色々と調べると良くわかってきますが、階位と言う資格制度に加えて身分等の制度を設けており神職になった後も功名心をくすぐる工夫がなされています。

一般人から祀職へなる方法以外にも神社に纏わる様々な規定を目にする事ができました。

組織がある以上規程制度ありで、制度そのものは勉強しないと理解できません、「神社関係法規」として試験科目に加えられている事はさもありなんと言ったところです。

さて、神職になる方法をまとめましたが、学生は國學院か皇學館、社会人は少し大変ですが検定試験がやはり一般的な流れだと思います。

無論社会人も大学等に入学する事も可能です。

卒業と同時に明階検定合格を取得できる國學院や皇學館の学生は、大きな神社で奉職できるチャンスが広がりアドバンテージがあります。

神職を志す方にとって本記事が役に立てば幸甚です。

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神田 哲拓
神田 哲拓
神道ブロガー。神道研究で得られた智慧の共有をモットーに、神社や神道記事を執筆しています。 神社大好き人間(神社検定壱級)兼 大家さん(現在戸建1戸+宅建士)兼 サラリーマン。 神道研究とフォルクローレに没頭したい。あはれ、 あなおもしろ、 あなたのし、 あなさやけ、おけ。我が信ずるところに従いまして言の葉を紡ぎます。

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